明和地所コミュニティ株式会社は、オリコン顧客満足度ランキング2024「分譲マンション管理会社 首都圏」の管理会社担当者部門で1位を獲得しました。
明和地所コミュニティが管理するマンションは、マンション管理サービスの品質や生産性の向上を目的に独自開発したコミュニケーションアプリ「kanri.online(管理オンライン)」を導入し、マンション管理に関わる全ての人の連携を円滑にしています。
今回は、代表取締役の義澤氏と取締役の近藤氏に、顧客満足度を向上させる施策についてお話を伺いました。
顧客満足度の向上への攻めの投資が導いたオリコン第1位の快挙
まずは「管理会社担当者」部門で1位を獲得された感想をお聞かせください。
義澤氏: このような高い評価を賜り、心より感謝申し上げます。社員一人ひとりの努力、そしてお客様への真摯な対応が評価された結果だと感じています。特に、フロント業務の改善に注力した成果がこのような形で実を結び、非常に嬉しく思っています。
2022年以降ランキングが飛躍的に伸びていますが、どのような取り組みをされたのでしょうか?
義澤氏: 「管理会社担当者」部門のランキングは、6位、2位、1位と年々その評価を上げています。当社は常に顧客満足度を意識し、全社員がその向上を目指して業務に取り組んできました。特に、情報共有の強化を意識し、「すべての情報がフロント担当者に集まるシステム」を構築してきました。
900を超える管理物件全てにiPadを配布し、kanri.onlineを導入することで、管理員からの情報をリアルタイムで集約します。すべての管理員から情報を吸い上げるシステムを構築しているのは明和地所コミュニティだけではないでしょうか。
このアプリにより迅速かつ的確な対応が可能となっています。いち早く顧客満足向上に向けた投資を決断したことが、迅速な課題発見につながり、トラブルへの対応力が高まりました。先を見据えた取り組みが、今日の成果へとつながったと自負しております。
全社的な目標を共有し、顧客満足度の意識を高めるための研修や社員同士の連携も強化し、日々の業務に取り組んでいます。
すべての情報がフロント担当者に集まる
kanri.online導入以前は、どのような課題がありましたか?
義澤氏: 導入以前の課題は、現場の情報がフロント担当者に届くまで時間がかかることでした。
本来、管理物件の全ての情報はフロント担当者に迅速に伝えられるべきです。情報伝達の遅れは、対応の遅れに繋がります。
管理員は、マンションの最前線で居住者様と直に接する存在で、日々の業務を通じてさまざまな情報を把握しています。以前はその情報は紙の業務日誌に記録され、フロント担当者が物件巡回時に確認していたため、情報共有に1ヶ月ほどのタイムラグが生じることもありました。
例えば、管理員が「居住者様が、事前申請なしにリフォーム工事を進めた」ということを把握しても、フロント担当者が認識し、対応するまでに時間がかかっていました。今では、管理員が情報をすぐに伝え、フロント担当者が迅速に適切な対処を居住者様にお願いすることができ、問題が顕在化する前に解決できるようになりました。
課題の解決に向けて、kanri.onlineの導入後にまず取り組んだことはどのようなことですか?
近藤氏: kanri.onlineの導入後、最初に取り組んだのは、管理員とフロント担当者のコミュニケーションの仕組みを構築することでした。
kanri.onlineの導入で、管理員の報告は紙の業務日誌からiPad入力に変わり、フロント担当者がリアルタイムで情報を把握できるようになりました。些細な用件はチャットを活用することで、即座に指示を仰ぐことができるようになりました。
また、写真を撮るだけで現場の様子を共有する機能もあるので、社内の専門家が視覚的に問題を把握でき、迅速で適切な対処が可能になりました。些細なうちに問題を発見し、早期に対処することで、居住者様からの信頼も大きく向上したと思います。
近藤氏: 当社では、管理員に業務を指導する17名の指導員が在籍しており、毎日3〜4物件を巡回しています。日常の業務では気づきにくい部分や専門的な知識を要する課題に対して、指導員が定期的に点検することで、全体の管理レベルの維持・向上を徹底しています。
kanri.onlineを活用することで、巡回中に気づいた問題をその場で記録し、フロント担当者と即座に共有できるようになりました。これにより、指導員の視点がフロント業務にも反映され、管理品質が大きく向上しました。
指導員は管理員と定期的にコミュニケーションを取り、業務のアドバイスや改善点を共有しています。適切な指導により、管理員のスキル向上を図っています。
kanri.onlineの導入により、管理員・指導員・フロント担当者のコミュニケーションが改善され、リアルタイムでの情報共有が可能になったわけですね。
適切な提案から生まれる理事会からの信頼
協力会社も含めてkanri.onlineを活用されていますよね。どのような変化がありましたか?
近藤氏: kanri.onlineの導入によって、協力会社との連携も大きく改善されました。
従来は、協力会社からの点検報告書がフロント担当者に届くまでに1カ月以上かかることもあり、迅速な対応が難しいケースも多く見受けられました。また、工事や点検の翌日に理事の方々が状況を把握されているにもかかわらず、問い合わせを受けたフロント担当者が状況を把握できていないという事態も度々発生していました。
協力会社のkanri.online導入により、点検終了後すぐに情報共有されるようになったことで、点検や工事の結果を把握した上で、理事会の方々との円滑なコミュニケーションが可能になりました。
義澤氏: フロント担当者は居住者様からの問い合わせに対しても、迅速かつ適切な対応ができるようになったと感じています。また、理事会においては協力会社からの報告をもとに、現状の問題点や今後の対策をデータで示すことができ、提案の説得力が大幅に向上したと思います。
義澤氏: さらに、協力会社とのスムーズな情報共有により、居住者様が不安を感じる前に適切な対応策を提示できるケースが増えました。例えば、設備の点検で劣化の兆候が確認された場合、早急な修繕工事の提案を行うことで、居住者様の安心感を高めるとともに、資産価値の維持にも貢献しています。
近藤氏: 理事会での提案は、これまで以上にデータに基づく具体的な内容を示せるようになりました。
例えば、修繕工事の必要性や費用の見積もりについて、過去のデータと現場の最新情報を照らし合わせて提案することで、理事会の合意形成がスムーズになりました。居住者様の皆様にも「管理会社がしっかりと把握している」という安心感を持っていただけるようになったと感じています。
義澤氏: kanri.onlineで物件ごとに情報が整理されている点が、本当に重要なポイントです。これによって、関連するすべてのスタッフが必要な情報をすぐに見つけることができ、適切な対処ができます。このシステムはフロント業務の精度を大きく向上させており、顧客満足度1位の要因だと思っています。
見える化で変わるフロント業務の新体制
フロント内部でも「kanri.online」での報告を活用されているのですね。どのような変化がありましたか?
近藤氏: 業務効率が大幅に向上しましたね。例えば、理事会に提案する議題や資料を事前に上司と共有できるため、上司がフロント担当者に適切なアドバイスを行えるようになりました。
さらに、巡回後の報告もリアルタイムで上司が確認できるようになりました。理事会後の結果はシンプルに「もめた」「少しもめた」「もめてない」と報告され、問題があれば上司に通知される仕組みです。上司がフロント業務をしっかりと見守れるようになったのは大きな変化ですね。
お問い合わせシステムも導入され、さらに情報整理が進んでいますね?
義澤氏: はい。お客様からの問い合わせ内容を全社で共有するようにしました。担当者が不在でも他のスタッフが進捗状況を把握して対応できるので、お客様をお待たせすることがなくなりました。
「kanri.online」を中心に、協力会社との連携も強化され、フロント担当者がすべての情報を集約し、業務の見える化を実現したことで、顧客満足度の向上につながっています。
マンション管理は「三現主義」+デジタルの力で
デジタル化が進む中で、現場訪問は変わらずにされてますよね。訪問する重要性について、どうお考えですか?
近藤氏: デジタル化が進むと、現場に行かなくても情報は集まります。しかし、実際に足を運ぶことでしか得られない「温度感」や「雰囲気」があります。フロント担当者が、巡回業務を通じ、自分の目で確認することは欠かせません。
例えば、先日あるマンションでタイルが落下する事故がありました。居住者様が「壁のタイルが剥がれている」と管理員に伝え、管理員はその場でkanri.onlineで写真を撮ってフロント担当者に報告しました。フロント担当者の指示により、管理員は、カラーコーンとロープで、立入禁止区域を設定しました。まず、現場の安全を確保した後、フロント担当者は、業者を手配するとともに、自身も現場に駆けつけました。このような一連の流れがスムーズに進むのは、デジタル化のおかげです。
義澤氏: デジタルツールを活用することと現場で直接お客様と向き合うことの両方を大切にしています。
現場の現実を把握し、実際の状況を確認して対応する。この「三現主義」(現場・現物・現実)の姿勢が、お客様からの信頼に繋がります。
この「三現主義」にデジタル化を加えることで、スピード感のある対応が可能になります。お客様の「リアルな声」を拾い上げ、それをすぐに形にすることが重要です。私は「三現主義」+デジタルの力こそが、マンション管理において欠かせない要素だと考えています。
リプレイス活動と資産価値の向上
リプレイス活動についてもお話を伺えますか?
近藤氏: 管理会社の変更を検討している理事会の方々からも、私たちの取り組みが高く評価されています。こうした理事会へのリプレイス活動は、居住者様の不満を解消するだけでなく、マンションの魅力を再発見する契機にもなります。当社が持つノウハウやkanri.onlineを活用し、資産価値を向上させる提案が大切です。
義澤氏: リプレイスの背景には、フロント担当者への不満や対応の遅さがあります。「言ったことが解決されない」「対応が遅い」といった課題は多くの居住者様が感じるところだと思います。
こうした課題の解決には、居住者様との協力が不可欠です。管理会社だけが努力するのではなく、居住者の皆さんにも「良いマンションを一緒に作る」という意識を持っていただくことが重要だと考えております。
「質を落とさず、むしろ資産価値を高める」取り組みを、居住者様と共に進めていくことが必要です。
管理組合によって考え方は異なりますが、最近は「少し費用が高くても満足感を得られるサービスを受けたい」という高品質な管理を適正価格で提供することが求められています。
お客様に「この会社に任せて良かった」と思っていただけることを私たちの最大の目標としています。この信頼があるからこそ、リプレイスでも選ばれるのだと思います。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
近藤氏: kanri.online は理事会での迅速な意思決定やトラブルの早期解決に役立っています。しかし、現状では居住者様にその利便性が十分伝わっていないことが課題です。
今後は、居住者様全体に kanri.online 導入の利点を認識していただくことが重要だと考えています。
義澤氏: 未来を見据えると、マンション業界では管理人や清掃員の高齢化や人材不足という大きな課題があります。特に、管理人や清掃員といった役割は再評価されるべきであり、その重要性を居住者様にも理解していただく必要があります。デジタル化が進んでも、現場での直接対応や顧客との対話が持つ価値は変わりません。
昔のように「管理会社だけが頑張る」形では、これからのマンション管理は成り立たないと考えております。人材不足や高齢化が進む中で、居住者様自身が管理活動に積極的に参加する姿勢が求められます。「マンションは居住者様と管理会社が共に育てるもの」という考え方が、今後の鍵となるでしょう。
現場対応とデジタルツールのバランスを保ちながら、お客様に寄り添ったサービスを追求していきます。今後も、マンション管理をもっと身近に感じていただけるような取り組みを続けていきたいですね。
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